ボードゲーム『共円』について




1.『共円』って、なに?
1.1『共円』とは?
1.2『共円』のルール
1.3『共円』の歴史
1.4『共円判定』(『詰共円』)について
1.5『共円判定』問題例
1.6 よくある「よくある質問」
1.7 公式大会(JKO,JKHO)について
1.1『共円』とは?

『共円』とは、通常2人以上5人以下ぐらいで楽しめるボードゲームです。

[遊ぶのに必要なもの]
オセロの盤と、そのコマ
(なくても様々なもので代替できます)
1.2『共円』のルール

ルールは単純です。
最初にじゃんけんで順番を決め、各プレイヤーは1人1個ずつ順番に、
囲碁みたいな感じでコマを盤上の格子点に置いていきます。
(既にコマが置かれている格子点には置けません。)
このとき、各プレイヤーは、
同一円周上にある4つのコマ」が発生しないように気をつけて
コマを置いていかなければなりません。
もしあるプレイヤーが自分のコマを置く事によって「同一円周上にある4つのコマ」を発生させてしまい(*2)
それを誰か他のプレイヤーに指摘(*1)されたら、
そのプレイヤーは負けになり、ゲームから脱落します。
(このとき、そのプレイヤーが最後に置いたコマ、すなわちゲーム全体の中で最後に置かれたコマは盤から取り除きます。)
どんどん参加者が減っていきますが、最後まで残った人の勝ちです。

(*1 指摘について)
どのプレイヤーも、
最後にコマを置いた人が「同一円周上にある4つのコマ」を発生させているのを見つけた場合、
次の人がコマを置くまでの間であれば、いつでもそれを指摘する事が出来ます。
指摘するときは、「共円!」と叫んだあと、皆にどの4点が同一円周上になっているかを説明します。
(その説明が正しいものであれば、)最後に置かれたコマは盤から取り除かれ、最後にコマを置いた人は
ゲームから脱落します。
(この後、次にコマを置くのは、(自然な流れで、)最後にコマを置いた人の次の人です。)

(*2 具体例)
例えば、図3の状態のとき、図4中の☆の位置にコマを置けば、
「同一円周上にある4つのコマ」が発生する事になります。
(正確には、「『4つのコマが置かれている4つの格子点が同一円周上となる』ような
4つのコマ」と表現するべきです。)
(「同一円周上」とかがよくわかんない人は
[付録]を見てください。)
図3  図4

(1に置くとA,C,D,1、2に置くとB,C,D,2、3に置くとA,B,C,3、4に置くとA,B,D,4
同一円周上になります(この4つは全て等脚台形です([付録]も参照してください)))

ちなみに、[付録]にも書きましたが、
このゲームにおいては、いくつかの点が一直線上にあるときも「同一円周上」にあると考えます。注意してください。
1.3『共円』の歴史

もともとこのゲームは、2005年3月、JMO(日本数学オリンピック)の春合宿において開発されたゲームで、
今では日本のあちこちに(といっても数は少ないですが…)ファンがいたりします。ファンによって、
さまざまな定石が発見され(2章参照)、また、『共円判定』などの新しい遊び方(後述)も出来ました。
さらに、数学的に『共円』を研究しているファンもいます(3章参照)。
ここまで読んで、「このゲームは数学オタクだけのゲームだ」と思った方もいらっしゃるかも知れませんが、
そうでもないです。少し慣れれば、数学オタクでなくても楽しめます。


ちなみに、「共円」という言葉は、数学用語であり、
いくつかの点が「同一円周上にある」ことを、
いくつかの点が「共円である」とか、「共円になっている」とも言ったりします。これが、ゲームの名前の由来です。
(ほかにも、
・「同一円周上にある4つのコマが存在している」ことを「共円がある」、
・「同一円周上にある4つのコマを発生させる」ことを「共円を作る」、
・「同一円周上にある4つのコマを探す」ことを「共円を探す」、
とか言ったりします。)
(要するに、上の3つの用法では、「同一円周上にある4つのコマ」と「共円」を言い換えることが出来るのです。)
1.4『共円判定』(『詰共円』)について

突然ですが、下の図5から、共円な(=同一円周上にある)4点を見つけ出してください(1組だけあります)。

図5

『共円』がある程度強くなってくると、この程度の問題はすぐに解けるようになります。(
解答)
このように、与えられた盤面から、共円になっている4点を見つけ出すゲームが
『共円判定』です(『詰共円』とも言います)。
退屈な授業中とかに、誰かと問題を出し合ったりして遊べます。
大人数でやる場合は、誰かが問題を出題し、その他何人かが答えを出す早さを競えばよいでしょう。

『共円判定』は、『共円』の訓練にもなっています。
下にいくつか『共円判定』の問題を載せてみました(これらの解答は載せておりません)。
1.5『共円判定』問題例

◎下の図から、共円な4点を見つけよ(それぞれ1組だけある)。
(1)
(2)
(3)
(4)
(5)
(6)
(7)
(8)
(9)                 .
(10)                 .
1.6 よくある「よくある質問」

『共円』の遊び方に関して、よくありがちな質問を並べてみました。

――オセロ盤じゃないとダメなんですか?
そんなことはないです。
正方形の格子(正方格子)が描かれている盤であれば遊べます。
ちなみに、プレイヤーの多くが初心者の場合、オセロ盤(9*9)より小さめの盤(6*6程度)で遊んだ方が
面白いかもしれません。

――じゃあ、「正方格子が描かれている盤」じゃないとダメなんですか?
そうです。…と言いたいのですが、世の中には奇妙な『共円』も存在していて、
正三角形の格子で『共円』を遊んでいる人もいれば、
辺の比が1:√2の長方形の格子で『共円』を遊んでいる人もいます。
しかし、基本はやはり「正方格子が描かれている盤」です。

――コマを置くまでの時間に制限はありますか?
(後述の公式大会でない場合)特に定められていませんが、
(周りが1分程度しか考えていないのに自分だけ10分考え込んだりとか)周囲の空気を乱すようなことは避けましょう。

――「共円があると思って「共円!」と叫んで指摘したが、実は共円ではなかった」
といった場合、どうなりますか?

これも特に定められていませんが、何も起きず、「無かったこと」になるのが一般的なようです。

――ある人がコマを置いて共円を作ってしまったのに、次の人がコマを置くまでの間に
誰もそれに気づかなかった場合、どうなりますか?

何も起きません。すなわち、自分が共円を作ってしまっても、次の人がコマを置くまでに誰にも気づかれなかったら、何も無しで済みます。

――上のような状況だと、盤面に「誰にも指摘されていない共円」が残る事になりますが、
その残った共円を指摘する事は出来ますか?

後からは出来ません。共円を指摘できるのは、その共円が発生した直後のみ、つまり、共円を作った人の次の人が
コマを置くまでの間のみです。
1.7 公式大会(JKO,JKHO)について

『共円』、『共円判定』には、公式大会があります。
日本で現在行われている最も大きな公式大会は、下の2つです。
・JKO(日本共円オリンピック)
・JKHO(日本共円判定オリンピック)

両者とも、「共円オリンピック集団」が主催し、毎年夏に行われます。
ただ、参加するためには、毎年開催される「JMO夏季セミナー」に参加することが必要であり、
このセミナーに参加するのにもいくらか条件が必要なので、どちらもまだ参加者が少ないのが現状です。

ちなみに、JKOには、上で触れた『共円』のルールに加え
・1手1分以内に打たなければならない
・ただし、共円の指摘が行われた場合は、その時考慮中の人の制限時間が1分に戻り、再びカウントダウンが始まる

などの特別ルールがあります。

また、JKHOには、予選本選が存在します。予選の成績優秀者が本選に出場できます。
予選では、『共円』に関する基本的な知識を問う問題や、上に挙げたような『共円判定』の問題が多数出題され、
本選では、難しい『共円判定』の問題と、共円に関する数学的な証明問題などの記述問題が出題されます。

「ゲーム」目次に戻る
トップに戻る


このページに関するメールは数学研究部まで

inserted by FC2 system